今から十年程前のある日、「当時中3」の女子生徒(仮称:夏子)と、怒鳴り合いの大げんかをしたことがありました。
KOSHIN学院では授業が2時間あるのですが、その間に10分間の休憩時間をとっています。
その10分の休憩時間を利用して、夏子が「先生明日部活でお別れ会があって、そのお菓子を買ってきて良いですか?」というので、10分で戻ってくることを条件に許可しました。
ところが夏子達は、10分経っても20分経っても戻ってきませんでした。
結局50分くらいして塾に戻ってきました。
さすがに私は怒りました!
塾長:「10分で戻ってくるという約束だっただろ!」
夏子:「10分で帰るつもりでした。でも仕方ありませんでした。」
塾長:「なんで約束守れないんだ!」
夏子:「だから仕方なかったの!」
塾長:「約束守るなんて常識だろ!
夏子:「常識ってなんですか? そんなの誰が決めたんですか?」
そのうちお互いにエキサイトしてきましてね、ついに怒鳴り合いの大げんかになっちゃったのでした。
見るに見かねた、当時のアシスタントスタッフが「二人ともアタシの顔に免じて、今日は堪えてください。他の生徒の授業の邪魔ですから!」とピシャリ。
お互いに頭に血が上ってましたから、引っ込みが付かなくなってました。本当にバイトのお姉さんに感謝感謝でした。
今でも夏子の「常識ってなんですか?私には理解できません!」という言葉が耳から離れません。
文化祭の前後だったと思うので、11月頃のできごとでした。
「夏子はそれで塾を辞めちゃうかな?」と思ったのですが、結局卒業するまで最後まできちんと通ってくれました。
しかーし!
その後夏子は、とうとう卒業するまで、私と口をきいてくれませんでした。
勉強に関することだけは、口をきいてくれましたが、かなりギクシャクした関係でした。
その後夏子は、念願の「第一志望校」にめでたく合格してくれました。
その時に夏子は私のところに、チョコチョコとやってきて、
「先生と大喧嘩したあれで、私はすごく気合いが入って勉強に集中することができました。生意気な態度をしごめんなさい。」
って言ってくれました。もう嬉しくて、二人でボロボロ涙をこぼしながら語ってしまいました。
今でも夏子とは、付き合いが続いています。顔が合うと必ず「あの時」の話で盛り上がります(笑)。
「そんなの常識だろ!」では通じない
先日ある生徒のお母様とお話ししたのですが、お母様が娘さんをすごくしかったそうなんです。
母:「食事の時くらいスマホを見るのやめなさい!」
娘:「ママだってテレビ見てるでしょ!テレビはよくてスマホはいけないの?」
母:「そんなの常識だろ!」
娘:「それ答えになってないよね!」
こういう時はどうしたら良いのでしょうかというお母様のご質問がありました。
するとその場に居合わせた別の塾の先生が、「それってイジメですよね!」とおっしゃいました。
家族みんなで楽しく食事をするはずの場面で、他の家族を寄せ付けないで自分だけで楽しんで、せっかく食事を作ってくれた人達を寄せ付けないで無視するのは、紛れもない親に対するイジメです。
そう教えてあげれば、そのお嬢さんも納得してくれたと思われます。
でも「そんなの常識だろ!」だけじゃ伝わらないのです。
家族で食事をする時は「みんなで楽しめるように」食べるんだよ。
テレビは、みんなで「ああだこうだ!」と楽しみながら見ることができるよね。
でも、スマホでYouTubeだと「あなた1人」しか楽しめないじゃん。他の家族はすごくつまらない思いをするの。
そのように具体的に言ってあげれば、素直に受け容れてくれたのではないでしょうか。
私も「夏子さんの一件」以来、「そんなの常識だろ!」はできるだけ使わないようにしています。
それでは今日はこの辺で。また来週お会いしましょう。
【KOSHIN学院は神奈川県平塚市田村にある、常識を見つめ直す学習塾です!】