私が塾業界に飛び込んで、最初にミスをした時のことです。実はどんなミスだったかあまり覚えていないんですけどね。
とにかく私はものすごく落ち込みました。そしてもう塾をやめようと思いました。
※入社間もないころです。
その時に上司に言われた言葉が忘れられません。
我々は「神様」じゃないんだ! 全ての生徒に完璧に気に入ってもらえるなんてことはあり得ないんだ。
瀬下は完璧を追求しすぎる。俺たちに完璧なんかあり得ないんだと割り切らないと、やっていけないんだ!
ただどうしても性格的に完璧を追求したくなってしまうのです。
ですから、まだ悩んでいました。すると別の上司が、
瀬下くんが完璧を追求すればするほど、生徒が苦しむということが分からないのか?
と言ってくれました。
今でも時々この言葉を思い出します。
ついつい一生懸命生徒のためにと思って頑張りすぎると、生徒に対してあまりにも完璧を求めてしまう傾向があります。
しかーし!
ある程度完璧を求めてあげないと、生徒の成績があがらないのも事実です。
塾なんて、生徒の成績をあげてナンボの世界ですからね。
私がオトナになって、一番ずるくなったことは、このことだと思います。
なんでも「加減」というものがあるんですよね。
ある時「他塾」をやめてKOSHIN学院に来てくれた生徒がいました。
この生徒が通っていた塾は、勉強できないと夜中の一時まで残して勉強させるのだとか。その塾は「完璧」を求めすぎてしまったのかもしれません。
※他塾のことは分かりませんけど。
KOSHIN学院がある、平塚市田村付近は、夜になると暗いので、私は生徒を残して勉強させたりしません。
それだったら「明日やろう♪」って言います。
生徒の成績をあげるのは大切ですが、夜中の一時まで残すのは、あきらかに行き過ぎた行為だと思います。
KOSHIN学院を「毎日通っても月謝が増えない定額制」の学習塾にしてしまいました。
単純にお勉強が苦手な生徒が、週2回2時間ずつ塾に通ってきたくらいで、勉強ができるようになる訳がないから、このスタイルにしました。
売り上げは激減してしまいましたが、「これしかない!」という私の決意がこれを断行させました。
それでも時々思うのです。お勉強がイヤで、さぼってばかりの生徒には「最悪の塾」なんだろうなと・・・
お勉強したくないけど、塾には友達もいて楽しいから塾に来たいという生徒には、全く向いていない塾です。
自分の行いは反省せず、親や教師のせいにしてばかりしていたって、前に進めないじゃん!
しかーし!
そうした生徒でも、厳しい試練を乗り越えて、勉強が分かる喜びを感じ始めると、私が驚くほど勉強をよくするようになる生徒がたくさんいます。
残念ながら、その波に乗りきれずに途中退塾した生徒も数人いました。そんな時、私は悔しくてたまらない気持ちになります。
そんな時に昔の上司の言葉が脳裏をかすめるのです。
私たちは神様じゃない!
でも、時々本当に「神様」だったら良かったのにと思います。
KOSHIN学院には、様々な事情で苦しんでいる生徒や保護者の方がいらっしゃいます。
助けてあげたい! でも何もしてあげられない!
私に出来ることは、勉強の仕方を教えてあげて、自分のチカラで勉強することができるように指導してあげること。
どうしても分からない問題を、なるべくヒントは小出しにして、分かるように導いてあげることくらいです。
※平成29年1月度月例通信より。
それでは今日はこの辺で! また明日!