たまに「先生は頭が良いから、出来ない子の気持ちは分からないでしょう?」と言われることがあります。
自分が勉強できた人は、出来ない子の気持ちが分からないという理論ですよね。
確かにそんな風に言う人が多いんですけどね。果たしてそうでしょうか。
私が塾の先生になったばかりの頃、一番苦手な科目は社会科でした。
私の学生時代を振り返ると、大変失礼ながら「授業が分かりやすいと思える社会科の先生」には出会ったことがありませんでした。
何を言ってるのかちんぷんかんぷんでしたし、何より面白くもなんともないの。
はい! これで「私は頭が良いから塾の先生になったのではない」ということをご理解頂けたと思います。
ですから「勉強が苦手な子の気持ち」は人一倍分かるつもりでした・・・
初めて中学生に「授業」をした時に、なんとこともあろうに「社会科」(地理・歴史・公民)の授業をさせられました。
そもそも全然分からないのに授業をしろと・・・でもやるしかないので「ほぼ毎日徹夜で翌日の授業の予習」をしてました。
もちろん「分からない子の気持ち」は痛いほど分かりましたけどね・・・それでは「分かりやすい授業」ができたかと言われれば・・・
はっきり言えば教壇に立ってはいけないレベルでした。
やはり教師は知識がなければダメですよ!
そんなわけで「塾の正社員」になってからは、毎日狂ったように勉強しました。まず地元中学校の定期試験問題を過去10年分・入試の過去問を10年分解いて、試験に出るポイントを頭に叩き込みました。
ここはテストに出るからしっかり勉強しておくように!
なんて「もっともらしいこと」を言って得意になってました。
しかーし!
教えていた私自身、授業をしていても全く面白くありませんでした。だって試験に出るポイントを説明するだけの授業でしたから・・。
そんな私の社会科の授業が劇的に変わったのは、岩手県の中尊寺金色堂に見学に行った時でした。
当時NHKの大河ドラマで「炎経つ」という番組が放映されてたんですけどね。自分が見てきたところがテレビに映し出されるのです。
え~!? なにこれ~!! めっちゃ面白いじゃん!
というわけで、その後は「大河ドラマ」に思いっきりはまってしまいました。
そのうちに「山岡荘八」や「司馬遼太郎」などの歴史作家が書いた本を読み漁りだしました。
いつしか両氏の著書はほとんど全て読み終えてしまいました。
ふと気がつくと「私の歴史の授業」はすごく面白い授業になっていました。
※自分で言うのも変ですが・・
出来ない子の気持ちうんぬんではなく
要するに「授業が上手いか下手か」だけの差なのかなと思うようになったのが、その頃でした。
ちょうどその頃「KOSHIN学院」を立ち上げたのですが、当時は「授業の腕を上げる」ことに夢中でした。
どうだ! 俺の授業は分かりやすいだろう!
お恥ずかしながら「有頂天」になってました。
しかーし!
その後トンデモナイ現実を突きつけられたのです・・
どんなに分かりやすい授業をしても、一向に生徒の成績があがらない!
本当にこれは悩みました。正直もう塾の先生を辞めてしまおうかと何度も思いました。
KOSHIN学院に足りなかったもの!
独立開業したときにはすでに10年ほどのキャリアがあった私ですから、それなりに「若いやすい授業」なんかできるようになっていました。
もっと言っちゃうと、今よりも当時の方が授業は上手かったかもしれません。
でもね!
だったらなんで生徒の成績があがらないんだろう??
それは私の偉大なる勘違いからきていました。生徒が間違えそうなところを先回りしてきっちり説明してあげるのが良い授業だと思っていました。
ですから試験のたびに
生徒:「先生! 先生が授業でやってくれたところ試験に出たよ!」
という声を聞くのですが・・・
私:「じゃ、できたのかな?」
と尋ねると、みんな
生徒:「できなかった!」
と答えるのです。
ものスゴく悩みましたが、ある原因に気がつきました。
「良い授業・分かりやすい授業」をすることにこだわりすぎて、「生徒が自分で勉強する習慣や時間を作っていなかった」ことに気がついたのです。
そりゃそうですよね。
例えば自転車の乗り方を100回説明しても自転車に乗れるようにはなりません。
それよりは「自分で運転する練習」をさせてあげたほうが、どれほど上達するかっことです。
これが今のKOSHIN学院の授業の基本になっています。
それでは今日はこの辺で! 済みません次回のブログは来週になります。
※このブログは土日祭日はお休みさせていただいております。勝手ながら明日もお休みさせていただきます。